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ルールを守らせるために必須。今日からできる「我慢する力」の付け方

ルールを守らせるために必須。今日からできる「我慢する力」の付け方

2017.12.29 | 品川裕香

以前、座間市の事件から考える。子どもに身に着けさせたい「規範意識」という記事の中で、規範意識を身に着けさせるためには、乳幼児のころから小さなルールを守らせるといいとお話しました。

 

すると、「それができたら苦労しない」「うちの子は生まれつき我慢するのが超苦手」「思い通りにならないと、ギャーギャー泣き叫んだり、ところかまわず寝転がってしまって手が付けられない」「おやつをもらえる時だけルールを守る」「全然言うことを聞けない。ADHD(注意欠如多動性障害)じゃないか不安」などのコメントをいただきました。

 

「ルールを守る」ができるようになるには

 

そこで、もう少し。ママたちの苦悩は一理あるのです。なぜなら「ルールを守る」と一口に言っても簡単にできることとは言えないからです。

 

「ルールを守る」ことができるようになるためには、

 

・ルールそのものを知っている

・ルールは守るもの、と〝ルール〟の意味がわかっている

・ルールを守ろうとする気持ちがある

 

これらは必須。でも、それだけでも不十分で「(ルールを守るために)やりたいことを我慢しなければならないと気づく」ことができ、「やりたいことを我慢できる力(忍耐力)がある」ことも求められます。

 

しかも、忍耐力は「気合を入れたらつく」「根性を出せばなんとかできるようになる」というようなものでもありません。

 

確かに、生まれつき忍耐強い子どももいますし、精神論が入ることでできるようになる子もいます。

 

ですが、たいていの子は育ちのなかでいろいろな経験をし、小さな我慢を繰り返し、我慢できた成功体験を積み重ねていくことで我慢そのものを学習していきます。

 

そもそも我慢とは何か?

 

アメリカの心理学者W.ミッシェルは「我慢とは満足を遅延させる力であり、注意を戦略的に配置する力」と定義しています。少し具体的にお話します。

 

先日、仕事帰りの飛行機のなかで見た月齢10か月くらいの女の子とママ。女の子は離陸直後、大泣きしていました。あまりに泣き止まずママが途方に暮れると、私はよくおっせかいおばちゃんになって赤ちゃんをあやすのですが、この時はママが素早く行動に出ました。

 

ママはポケットから指人形を取り出し子どもをくすぐり始め、子どもが少し泣き止むと、今度は小さな絵本を取り出し読み聞かせを始めます。

 

読み終えるとすぐに小さなおもちゃ(柔らかく、握りつぶせるようなもの)を出して遊び始めました。それが終わると、今度は折り紙を取り出します。折り紙の次はまた絵本。絵本の次はキラキラ光るスマイルのモチーフ。

 

そうして20分くらい絶え間なく、手を変え品変えて子どもの注意を移すようにしていました。

 

このように、あることがら(この場合だったら「泣く」という行為)に向いている注意を、ほかの刺激を入れることで意識的にほかのものに向けさせる力がミッチェルのいう我慢の正体なのです。

 

我慢する力をつけさせるために

 

そしてミッチェルは「乳幼児のころから小さな我慢を繰り返すことで我慢する力が身に着く」と言っています。

 

では、今日からできることは? ご飯を食べる時はずっとテレビを見ているのなら5分だけ見るのを止める、ゲームを1時間しているなら55分にするなどまず何かひとつ「我慢する小さなこと」を決めることです。

 

この時、子ども自身が自分で決めることが大事。ただ、小さいうちはそれも難しいでしょうから、どちらを選んでもいい、というようなものを保護者のほうで選び、二者択一にして本人に選ばせるといいでしょう。

 

注意しなければならないのは「○○したらお菓子をあげる(お小遣いをあげる)」などの報酬制。

 

これがダメなわけではありませんが、報酬で望ましい行動を強化すると、報酬をもらえない時は行動しないという逆転現象が起こることがあります。

 

まずは子どもの様子を見ながら、我慢する練習を積み重ねていきましょう。

― おとずれるたびに、いい発見。EPARK ―

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品川裕香

品川裕香

教育ジャ-ナリスト・編集者。文部科学省中央教育審議会委員。元内閣教育再生会議委員。出版社で雑誌・書籍の編集に携わった後、独立。教育・医療・社会問題を異文化理解・予防的観点から取材執筆。著書に『いじめない力、いじめられない力 60の〝脱いじめ〟トレーニング付』(岩崎書店)、「『働く』ために必要なこと: 就労不安定にならないために」(筑摩書房)など多数。

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