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遊びや体験を通して身につけたい。幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿〈後半〉

遊びや体験を通して身につけたい。幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿〈後半〉

2017.10.27 | 品川裕香

前回の記事で、2018年4月から、幼稚園や認定子ども園で子どもたちに何を教えるべきかを決めた「幼稚園教育要領」の中身が9年ぶりに大きく変わることを説明しました。

 

今回は「幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿」の6つ目、F以降から簡単に紹介します。

 

A、健康な心と体
B、自立心
C、協同性
D、道徳性・規範意識の芽生え
E、社会生活との関わり
F、思考力 の芽生え
G、自然との関わり・生命尊重
H、数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
I、言葉による伝え合い
J、豊かな感性と表現

 

具体的にどういうことか

遊びや体験を通して身につけたい。幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿〈後半〉

 

さて、Fの「思考力の芽生え」とは、身近な事柄に積極的に関わり、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり気付いたりするなかで、思いを巡らして予想したり、工夫したりなどさまざまな関わりを楽しむようになることを意味しています。また、友だちの考えに触れるなかで、自分から判断しようとしたり考え直したりなどして自分の考えをよりよいものにするようになることも入ります。

 

Gの「自然との関わり・生命尊重」とは、自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、身近なことがらへの関心を高め、好奇心や探究心を持ちながらさまざまなことを考えたり表したりしていけるようにすることを言います。そのなかで、自然への愛情や畏敬の念を持って、身近な動植物を命あるものとして心を動かし、親しみを持って接し、いたわり大切にする気持ちを持つように育てていくことも入ります。

 

Hの「数量・図形、文字等への関心・感覚」とは、遊びや生活の中で、数量などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりすることを通して、数量・図形、文字等への関心・感覚が一層高まるようになることを指しています。

 

Iの「言葉による伝え合い」とは、言葉を通して先生や友だちと心を通わせ、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付けること。同時に、思い巡らしたことなどを言葉で表現することを通して、言葉による表現を楽しむようになることも入ります。

 

Jの「豊かな感性と表現」とは、みずみずしい感性をもとに、生活の中で心動かす出来事に触れ、感じたことや思い巡らしたことを自分で表現したり、友だち同士で表現する過程を楽しんだりして、表現する喜びを味わい、意欲が高まるようになることを指します。

 

学習の土台を作る

遊びや体験を通して身につけたい。幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿〈後半〉

 

さて……またまた、なんだかややこしい!? 文部科学省中央教育審議会企画特別部会で議論を進めていた時(私はこの会議の委員でした)、確かにさまざまなご意見を頂きました。

 

たとえば、「就学前の子どもに、ある特定の能力を個別に付けさせようとすること自体、無理がある」「学校に入る前くらい、自由にのびのびと育てるべき」などです。

 

ですが、10の姿は、脳科学的に考えると、とても理にかなっている重要なものなんです。

 

いずれも〝学習(=読み書き計算のことだけでなく、あらゆる情報を脳に入れて定着させていくという意味)〟の土台を支えるもので、こういった力が小学校にあがってからの学び(国語や算数、英語などだけでなく、ルールを守る、吟味分析する、友だちと協働するなどのさまざまな力)につながることが分かっています。

 

家庭でもできることがたくさんある

遊びや体験を通して身につけたい。幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿〈後半〉

 

もちろん、小学校に上がる前にこういう力は絶対ついていないとダメだ、とか、これらは必ず着くはずだ、と言っているのではありません。

 

ただ、子どもは遊びや体験、日々の生活などを通して関わりや気づきなどを学んでいきます。だからこそ、こういったものが少しでもしっかりと養われるよう、幼稚園や保育園だけでなく家庭も同じ方向をむいて子どもを育てていくことが重要です。

 

ではどうするか。塾に通う? 家で幼児向けの通信教育やドリルをやらせる? そんな必要はありません。

 

たとえば食事の準備をするときに「お箸を3膳並べて」とお手伝いをさせることで数の概念が教えられるし、お箸の数え方も教えられます。

 

遊びや体験を通して身につけたい。幼稚園を卒業するまでに育ってほしい10の姿〈後半〉

 

クッキーを焼くときに「ひし形にくりぬこうか」と言って図形をリアルに教えることもできます。

 

雨が降ったら「雨は何で降ってくると思う?」と聞いて、考えさせ、その後、図書館などに行って調べることもできます。

 

買ってきた野菜のなかに虫がいたら「なぜ、この虫はここにいたのかな」と一緒に考え、やはり、図鑑で虫が食べるモノは何かと調べるといいのです。

 

このように、これまでもこの連載でもたびたび紹介していますが、リアルな体験をさせること、そういった経験そのものやその時に思ったこと感じたことを言葉に置き換えてみること、家庭でルールを決めて守ること、お手伝いをすること、友だちと一緒に遊ぶことなどを少しでも取り入れていくことをお勧めします。

― おとずれるたびに、いい発見。EPARK ―

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品川裕香

品川裕香

教育ジャ-ナリスト・編集者。文部科学省中央教育審議会委員。元内閣教育再生会議委員。出版社で雑誌・書籍の編集に携わった後、独立。教育・医療・社会問題を異文化理解・予防的観点から取材執筆。著書に『いじめない力、いじめられない力 60の〝脱いじめ〟トレーニング付』(岩崎書店)、「『働く』ために必要なこと: 就労不安定にならないために」(筑摩書房)など多数。

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