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身近に潜むウイルスや寄生虫が、子どもの多動や注意力散漫の原因に?

身近に潜むウイルスや寄生虫が、子どもの多動や注意力散漫の原因に?

2017.08.03 | 品川裕香

先日、野良猫に噛まれた女性が、数日後に亡くなったという報道がありました。

 

猫に寄生していた野生のマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が原因だったとのこと。

 

SFTSというのは、2011年に初めて特定された新しいウイルスです。

 

身近に潜む脅威

 

気をつけなければいけないのはウイルスだけではありません。原虫も要注意です。

 

例えばトキソプラズマ。トキソプラズマは哺乳類や鳥類がよく持つ寄生虫で、とくにネコ科の動物に宿り、そのフンを通して人間が感染する寄生虫です。

 

昔から「妊娠したら猫を触ってはいけない」とよく言われますが、これは妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると感染時期によって流産や胎児死亡の原因になったり、生まれてきたとしても水頭症や脳室拡大、網膜脈絡炎などの頭や目の病気が発生してしまう可能性があるからでした。

 

ですが、トキソプラズマは土にもいたりするので、土いじりをして手をよく洗わなかったり、しっかり洗われていない野菜や、牛や羊など草食動物の生肉や火が十分に通っていない肉などを食べて感染することもあります。

 

2008年のデューベイらの調査によれば、人間でも3人に1人は感染しているそうです(Int.J Parasaitol.2008;38(11):1257-1278)。

 

トキソプラズマが原因の可能性がある疾患

 

近年、トキソプラズマは胎児への影響だけでなく統合失調症やてんかん、双極性障害、アルツハイマー症、パーキンソン病、ガンなど遺伝子に原因があると思われているその他多くの疾患を誘発するらしいことも証明されつつあります(C.J.Carter et at, J.Pathogens 2013;2013:965046)。

 

さらにこれだけではありません。

 

「規則をやぶったり」「すぐに激しくキレたり」「攻撃性が強かったり」「注意力が散漫だったり」する人にもトキソプラズマが関係しているという報告があるのです(J.Flegr et al,Parasitology41(1994):122-26, Parasitology113(1996):49-54,ほか)。

 

ADHDではないかと決めつけないで

 

最近、子どもがすぐにキレたり、激しく攻撃したり、注意力散漫だったりすると、親も教師も「ADHDではないか」と結びつけて考えやすい傾向があります(講演すると「うちのクラスにいるじっとできない子はADHDのはず」「我が子に落ち着きがないのはきっとADHD」などの相談を本当によく受けます)。

 

私は、なんでもかんでもADHDに結びつける昨今の傾向には強い危機感を覚えています。

 

というのも、こういった「ほかの原因もあるかもしれない点」を見過ごし、正しい指導や治療につながらず、結果的に子どもが不利益を被る可能性が出てくるからです。

 

子どもが多動になったり、注意力散漫になったりするのはADHDが原因の場合もあるかもしれないけれど、トキソプラズマに感染している場合もあるかもしれないし、ほかの理由の場合だってありうるのですから。

 

ADHDをはじめ発達障害は私の専門で長く取材や講演をしている分野なので、また別の機会に最新の研究報告等と含めて状態像や指導方法、国の方針などご紹介しましょう。

 

※コメントはいちライターの体験、経験によるものです。

 

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品川裕香

品川裕香

教育ジャ-ナリスト・編集者。文部科学省中央教育審議会委員。元内閣教育再生会議委員。出版社で雑誌・書籍の編集に携わった後、独立。教育・医療・社会問題を異文化理解・予防的観点から取材執筆。著書に『いじめない力、いじめられない力 60の〝脱いじめ〟トレーニング付』(岩崎書店)、「『働く』ために必要なこと: 就労不安定にならないために」(筑摩書房)など多数。

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