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怒り、妬み、後悔…負の感情を否定しても優しい子にはならない

怒り、妬み、後悔…負の感情を否定しても優しい子にはならない

2017.03.09 | 品川裕香

昨年取材して、「待つ」経験が足りないことに加え、もうひとつ気になったのは「負の感情体験をしているケースとしていないケースに二極化しているのでは」ということでした。

 

「怒る」「羨む」「悔しがる」ことを「いけない」と教えてない?

 

年長児や小学1,2年生を取材していて「怒るのはいけないことなんだよ」「お友だちにはどんな時も優しくしなきゃいけないんだよ」と言う子によく遭遇したので話を聞いてみました。

 

「小さい時から怒っちゃいけないってずっと言われてきたから、怒る方法を忘れた(頭が真っ白になって全部止まってしまう感じがする・怒りたくなったら自分が悪い子だと思う)」「優しくしなきゃいけないから、(人と争う)スポーツはやりたくない」と話す子どももいて…。

 

負の感情をコントロールすることは自立の第一歩ですが、一方で、「怒る」のも「お友だちを嫌に思う」のも、人間として起こりうること。頭ごなしになかったことにすべきものではありません

 

怒り、妬み、後悔…すべて自然な感情

愛したり楽しんだり大事に思ったりよろこんだりする一方で、私たちは怒ったり嫌悪したり羨んだり不安に思ったりするものです。

 

ポジジティブなものとネガティブなものと、どちらにも含まれない中間的なものがないまぜになっているのが人間の感情で、これはギリシア神話の時代から変わっていません。

 

それなのに、そういうネガティブな感情を「持ってはいけない」と否定されて育ち、「そういう感情そのものがわからない」と口にする子どもたちによく出会ったのでした(保護者に聞くと「将来いじめっ子になってほしくない」「学校で問題行動を取らないように」と話す人が多かったです)。

 

どんな感情も人間が生きていくうえで重要

 

これの何が問題だと考えるかというと、感情と理性と人間の行動は切り離せるものではない、というところです。

 

アントニオ・ダマシオという世界的な脳科学者の理論によると「感情は身体の状態を知るモニター」であり「意思決定する時に重要な役割を持つ」もの。行動を起こす動機にもつながります。

 

たとえば私たちは「負けて悔しい」から「がんばって練習」します。あるいは、「困っている友だちを助けた」から「うれしく思う」のです。「怒る」から「相手と正面から闘ったり、抗議したり」する。「怖い」から「命を落とさないよう気をつける」。

 

いい感情ダメな感情があるのではなく、どんな感情も人間が生きて行動していくうえでは重要な存在なのです。

 

負の感情が芽生えた後どうするかが大事

 

要は「そういった負の感情」を持たせないように指導する・しつけるのではなく、「持った時にどうするか」を一緒に考える。これが大事なのです。

 

悔しくて暴れたくなる時、暴れないための方法を教えるのではなく、本人とともにどうしたらいいか考えます。その場を離れる? 10まで数える? 楽しいことを思い出す? 大好きなぬいぐるみを抱きしめる? はちみつをなめる?

 

要するに「暴れたい」に集中する気持ちをほかに向けるわけですが、「何」に向けるかは子ども次第。

 

でも、そこを一緒に考え、身に着けさせることが大事なのであって、「負の感情を持ってはいけない」と教えることではないのです。

― おとずれるたびに、いい発見。EPARK ―

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品川裕香

品川裕香

教育ジャ-ナリスト・編集者。文部科学省中央教育審議会委員。元内閣教育再生会議委員。出版社で雑誌・書籍の編集に携わった後、独立。教育・医療・社会問題を異文化理解・予防的観点から取材執筆。著書に『いじめない力、いじめられない力 60の〝脱いじめ〟トレーニング付』(岩崎書店)、「『働く』ために必要なこと: 就労不安定にならないために」(筑摩書房)など多数。

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